レストラン植松です。
4月10日、季節外れの雪が降り積もる中、私は究極のラーメンを探す旅に出た。
とりあえずケータイでググってみて、真っ先にヒットしたのが、甲府市昭和町にある「中華蕎麦うゑず」だった。
予備知識を全く持たないまま、とりあえず甲府方面に車を走らせていると、アクシデントに襲われる。
車の屋根に積もっていた5㎝ほどの雪が、ブレーキをかけた途端、ドドドッと落下しフロントガラス一面を塞いでしまったのだ。
すっかり視界を奪われてしまった訳だが、比較的交通量も少なかったため、徐行しながら車を停める場所を確保して難を逃れることが出来た。
ここで私は究極のラーメン探しは、かなり命がけなミッションであることに気がついた。
なんとか「うゑず」に辿り着いた私に、次なる試練が襲い掛かる。
後々判明したことだが、「うゑず」は千葉県松戸にある、最強のつけ麺として名高い「とみ田」の一番弟子の方が開いた店で、どうやら山梨でも有数の人気店らしいのだ。
なんと店の前には行列ができているではないか。
わざわざ昼のピーク時をはずして14時半に訪れたというのに…。
先客は8名。
並んでまで食べることに、いささかのためらいはあったのだが、ここまで来たら…と思い食券を購入することに。
そもそも「つけ麺はラーメンに非ず」と日頃から思っている私は、人気のつけ麺には目もくれず「中華そば」と「ミニチャーシュー丼」をオーダーしたのである。
外気温は5℃。
まさかこの寒空の下、行列に並ぶことなど予想だにしなかった私は、完全に軽装だった。
「こりゃ間違いなくカゼひくな」
「いや、カゼをひくぐらいでは済まないかも。下手すりゃ凍死するかも」
そう究極のラーメン探しのために一度ならず、二度も命を落としそうになっているのである。
「あーん、ドラえもん、助けて…どこでもドア出して…」
薄れゆく意識の中で、ドラちゃんに助けを求めていると、
「次の方、どーぞ!」
天から助けの声が聞こえた。
食券を購入してから40分。
ようやく入店することができた。
店内はカウンター席ばかりで、10席ほど。
なるほど、これでは行列ができるのも無理はない。
店内はさぞかし温かいのだろうと思いきや、想像以上に涼しい。
というか、寒い。
というか、店内の室温は適温に保たれているのだろうが、如何せん私の身体が冷え切ってしまっているのだ。
さらに私が案内された席は入り口側から3番目。
ひっきりなしに人の出入りがあるので、隙間風が身体に凍みる。
「あー、もう早く熱々のラーメンが食べたいぃぃぃぃ」
着席から5分後、そう思っているところに、まずはチャーシュー丼が到着。
実食してみると、これがなかなかの逸品。
炭火で炙られたチャーシューはとても香ばしく、口の中でとろける程やわらかく、どんどんと箸が進む。
続いて「中華そば」が着丼。
が、熱々のスープを期待していた私には、「とてもぬるい」という印象を受けた。
超濃厚魚介豚骨スープではドロッとしており、ほぼほぼ鰹節の味、そんな感じである。

ラーメン通の丸山調理長に「うゑず」に行ってきたことを報告すると、「今はそれが流行っているんだよ」と教えてくれた。
そそくさとラーメンを食べ終えて、店を出て車に乗り込み暖房を全開にする私。
思ったほどの成果を得られぬまま、究極のラーメン探しの旅を終え家路を急ぐのであった。